書評…と言うのを書いたことがない。だから、どう書けば良いのかわからない。でも、インターネットの黎明期に知り合った人が、会社を独立し、ノマドワーカーとなった。
その人が本を出版したので、読んでみたのである。だから、書評と言うよりは、感想だ。
著者の立花岳志さんは、僕がインターネットでWeb日記を書き始めるきっかけとなった人だ。
インターネット黎明期とは書いたが、そんなにアングラではなく、一部のパソコンユーザがインターネットというおもちゃで遊びだした頃。
携帯電話はあったけれど、携帯でインターネットをするなんて事がなかった時代。
まだ、今で言うmixiや、Facebook みたいなSNSは無かったが、僕にはそれに近いサイトを見つけていた。
そのサイトの名前を「日記猿人」と言う。インターネットで日記を公開している人達のポータルサイトみたいなもの。いろんな日記書き(今で言うブログみたいなものは無く、個人個人、手作りとか、掲示板システムに毛の生えたようなもので書いていた。)が、更新情報を発信するサイト。
今だと、Twitterなどで、「ブログ書いたよ」って言えば終わりだが、当時はそんなサービスはなかったのだ。
で、僕はその「日記猿人」で色々な日記サイトを巡っていた。当時はまだ23歳。頑張って夜まで働いて、夜更かししながら、更新された日記を見ていたのだ。
そのうちに自分でも日記を書きたくなった。その”やる気スイッチ”を押してくれた(と言うか、そのサイトを見て感銘を受けた)のが、立花さんの現在のブログの前身である、「思うこと」と言う日記であった。
今回の本を読んで、再度思ったのだが、この人は人を集めるのが凄く上手い。人を集めると言う事は、それだけ魅力があると言う事だ。今でこそ、大規模オフ会は日常的に開かれているが、当時行われた「思うこと」オフ会は、当時ではもの凄い集客数であったと記憶する。
その立花さんが、本をだされた。これは読まねばと言う事で、少しずつ読み進めていって、先ほど読み終わったと言う訳だ。
:
前置きが長くなった。
この本は、今のような回顧録のように立花さんの歴史をたどる所から始まる。
そして、立花さんの「核」となる、”人気ブログを書く!”と言う思いと、周りのインターネットの成長を上手く取り込み、スマートフォン(と言うかiPhone)とライフログの親和性や、SNSの上手な利用方法をなるべく具体的に書いてくれている。
いわば、この本の通りにやれば、あなたも「立花さん」になれるかもしれない。
…でも、違うでしょう?あなたにはあなたの夢があるよね。その夢を実現にするための後押しをしてくれる為の、立花さんなりのノウハウ本だと思う。よく惜しげも無く一冊にまとめてくれたものだ。
この本のタイトルは「ノマドワーカーという生き方」であり、フリーでの生活まで立花さんの実体験を読むことで、フリーの仕事・生活を疑似体験する事ができるが、別にノマドワーカーを目指していなくても、会社員にとっても、この本は実に有用だし、フリーではなく、会社員として生きる上でもこの本は夢の追いかけ方を教えてくれる。
フリーと言うと”楽”、”時間に囚われない”と思いがちだが、会社員の方が、有給ある分楽だし、就業時間以外は時間に囚われない。
フリーになると言う事は、自分でスケジュール管理をきちんとし、そのスケジュールを守りながら生きなければいけない。風邪を引いて有給休暇を取ることはできないのだ。それが原因で仕事を落としたらその分収入はないし、信用問題になるかもしれないのだ。
実は、会社員の方が”甘く”生きれるのだ。でも、仕事が合っていないと夢はないかもしれない。
これから、ワークスタイルも変わってくると思うが、全員がノマドワーカーになるわけではないし、会社員もやはり必要なのだ。でも、この本はそれに囚われない、”個人の可能性”を広げるお手伝いをしてくれる。
唯一言うと、この本のタイトルだけを見て、「俺、普通の会社員でいいから、読まないわ。」という人が居そうな事である。この本は、それ以外の、それ以上の価値がある。