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7人日は1週間ではない。

1週間は7日です。月曜〜日曜日で7日間ですよね。なので、これは現在のところ変えられません。

でも、お仕事で出てくる「7人日」は一週間ではありません。7人日(にんにち)と言う単位は1人の人が仕事をして7日かかると言う意味をさします。でも、これは「土日も仕事をしろ」と言う意味ではありませんよね。基本的に土日はお休みです。
なので、7人日は「1週間+2日」となります。1人月(=人月(にんげつ))だと1人が約20日働く日(稼働日)をさします。

そして、1日はだいたい9時〜5時です。8時間。なので、20日x8時間 = 160 時間が「一人の人が1ヶ月で働ける時間」と言う計算になります。これができない人は基本的に見積もりができません。

僕はシステム構築と言うパソコンでシステムを作る仕事ですが、基本的にこの人月と言う単位は、人工(にんく)から来ています。これはシステム屋ではなく、主に建設現場(大工さん)の作業単位から来ています。

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これって、基本的に”1人の作業量は一定”と言う前提から成り立っているんですよね。家を建てるのは基本的に(失礼ですが)見積もりがしやすいです。建築士が設計した図面を実際に建てるのは、天災による作業停止がない限りほぼ予定どうりに完了します。
もちろん、大工さんにも新人や熟練の職人さんがいますが、見積もりの際に「この建設は全員ベテランの職人だから短くできますよ」とは言えません。もちろん、それだけ熟練の職人が実際に揃って作業できれば、工期は短縮するかもしれませんが、これはなかなか難しいです。

当初、コンピュータシステムを構築する際に手本になるモデルがなかったので、人月と言う単位が用いられました。ただ、当初は良かったのです。機械自体が高かったのですから。(汎用機とかホストなんて呼ばれています)これのレンタルで月に1億円くらい稼げたので、システム構築費に10億円かかろうが、10ヶ月でペイできたのです。

でも、パソコンのハードの能力の飛躍的な躍進(ムーアの法則)によって、今は機械のレンタルではお金が貰えなくなりました。ここ数年では”クラウド”なんて言う言葉が出ている(と、言うか主流になりつつある)ので、ハードでもらえる金額から利益は全くでなくなってしまいました。(これが、「クラウドによってSEの仕事がなくなる」なんて記事を書いた記者の根拠です。厳密に言うとインフラSE(サーバの保守)の仕事は少なくなりますが、構築のSEは全く仕事がなくなっていません)

なので、現在はシステム構築でお金を稼ぐ時代になっています。
もちろん、お客様からは無限にお金をもらうわけには行かないので見積もりを出します。基本的に、正当な理由(お客様の意思が突然変わる。大工の世界だと2階建てを3階建てに変えてくれみたいな感じ)がないと追加の請求はできません。

そこで、最初に戻ります。1人月は160時間です。基本的にそれで見積もります。普通に働いていても、その時間を超えると”残業”となり、残業代が出ます。まぁ、働いている方としては当たり前ですよね。
よく、ブラック企業の話で出てくる「残業100時間。帰れない。手当も出ない」ってな世界です。
簡単に、ホワイト企業でもやむなしで残業代が出るとなると、仮に時給2000円として、残業100時間したら、20万円の残業代が振り込まれます。働いたかいがあったってなもんです。

でも、会社(経営側)としてはどうでしょう。基本的に、外注をだす場合は人月◯◯万円の世界で契約をします。
仮に、10人月の仕事を1人月100万円で見積もり、利益を乗せて1200万円でお客様に提示して契約したとしましょう(厳密にはもっと難しいです)。
残念ながら、見積もりを誤って、1人当たり月に100時間の残業をしてもらう結果となりました。でも、納期通りにシステムは稼働。お客様は1200万円を払って満足。
なのですが、先ほどの時給2000円として、100×10=1000時間の残業が発生しているので、200万円原価が追加になります。なので儲け(純利益)はゼロです。まぁ、このケースでは100時間の残業さえ耐えれれば、月に20万円の収入増になりますし、顧客は見積もり通りで納期にシステムは完成しますし、損益は0円です。まぁ、人を食わす事は出来て顧客も満足です。

でも、経営としては利益は0円。全てを外注に任せたとして、「なら、受注しても、しなくても変わりないよ。本来は200万円の利益が出るはずでしょ?」となります。マネージャーの責任ですね。

そこで、”生産性”と言う新しい単語が出て来ます。マネージャーはさらに上のボスから問われるはずです。「なぜ、100時間もみんなに残業させたのだ?」と。
大工の話に戻って熟練の職人なら、100時間も残業しなかったかもしれません。17時には「日が暮れたな。今日は終わりだ」と言って飲みに行ってるでしょう。それで納期は守ります。それが”職人”です。

「いや、できると思っていたのですが、生産性が悪くて結果的に残業と言う形で納期を守る形になりました。」これがマネージャの言い訳ですね。

ここで、言い訳として出てくるのがさっきでた”生産性”と言う言葉です。

すべての作業員が同等の能力を有しており、ひとつの作業を複数の作業員で分担すること及び複数の作業を一人の作業員に集約することを前提としている。あるいは、平均的な作業員の能力を想定し、多数の作業員の分布が正規分布に近く、想定能力付近の人が多いことを前提に計算が妥当になることを想定している。

wikipediaで人月を調べるとこのような定義が出て来ます。”全ての作業員が同等の能力を有しており”ここがポイントです。
人間、そんな同等の能力が出てくるわけではありません。もし「1桁+1桁の足し算を1日に100回行う」と言う定義があれば、小中学校の知識で同等の能力が出てくるかもしれません。
でも、それが「20桁x20桁の掛け算を1日に100回」となると、もしかしたら能力差が出てくるかもしれません。20桁x20桁まで行くと、さすがに検算しないと押し間違えとか出て来ますし、そもそも桁が増えるほど人間の自頭に影響されて来ます。

ちょっと、脱線したかもしれませんが、コンピューターの世界で”全ての作業員が同等の能力を有しており”は無理です。できるとしたらAIに置き換わっても問題ないでしょう。

僕は、ここ数年”知的生産性”と言うテーマを持っています。

例えば、10ある仕事を残業5時間で終わらせる人と、12ある仕事を定時内に終わらせる人は確実に存在します。残業5時間で終わらせる人は満足感とともに5時間の残業代をもらいます(プライベートは失われると思いますが)、12ある仕事を当たり前に定時内に終わらせる人には残業代はつきません。(もちろん、その時間をプライベートに当てられますが)

どう思いますか?

ここは、”10ある仕事は残業2時間で終わらせることができる”と言う定義をして、前者は3時間の残業代と2時間プライベート時間のロス、後者は2時間(早く終わりましたが、10ある仕事を12したとして)の残業代と5時間のプライベート時間。

これがあるべき姿だと思います。ある意味歩合に近いですよね。
でも、出来る人が出来ない人のサポートをして、出来ない人に残業代(=お金)が出るのはどう考えてもおかしいと思います。それなら、プライベートで副業を許可すべきです。

そう考えて行くと、コンピュータの世界では”生産性”ではなくて”知的生産性”が大事になってくると思います。

ちょっと、単位を使っちゃいますが、1000人月の仕事を、

  • 1人が1000ヶ月かけて構築する。
  • 1000人が1ヶ月かけて構築する。

どちらも無理なのです。(ここら辺は「人月の神話」と言う本が詳しいです)

働き方改革が叫ばれている日本の昨今ですが、差別主義ではないですが、ここは能力主義を用いて、人月(人工)から離れる見積もりをしないとシステム屋はいつまでもブラックであり”貧乏暇無し”になる結果になってしまいます。

ここで、利益が出る見積もりとして”知的生産性”を定義してみませんか?
と、ここ数年思っているテーマだったりします。

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