「白猫プロジェクト」などのスマホゲーで有名なコロプラが任天堂から特許侵害で訴えられると言うニュースが飛び込んできました。賠償請求額は44億とも言われており、現在売り上げ低迷中のコロプラとしては会社が吹き飛んでしまうのでは?とも言われています。
ちなみにコロプラ社はGPSを使った位置ゲーム「コロニーな生活PLUS」で立ち上げた会社ですね。「白猫プロジェクト」「黒猫のウィズ」などのヒット作を出して一躍スマホゲーで有名な会社になりました。
「お前のところのその技術、俺の会社の特許を無断で使用しているだろ」ってのが特許侵害のおおまかな内容ですね。
この件に関して、「任天堂見失った」とかホリエモンも「特許ゴロだな」とか言っています。さて、事実はどうなのでしょうか?
任天堂は5つの内容が特許利用違反だと言っていますが、一番大きいのは「タッチパネルに置けるキャラクター移動の特許」です。
スマホのタッチパネルのある点を押さえてそこから、動かしたい方向に指を動かすとその方向にキャラクターが移動する。ごくごく当たり前の機能です。
任天堂はそれで特許を取っています。
その特許を任天堂が独占すると、ほとんどのゲームメーカーはお手上げとなり、任天堂に特許使用料を支払って機能を実装する形になります。
でも、今のスマホゲーではその機能を意識しなくて使えていると思います。
これ、任天堂が「本物の特許ゴロ」の為に特許をとっておき、ゲームメーカーに安心して使ってもらえるようした。と考えられるんですよね。
ここで、コロプラがその上に「ぷにコン」と言う特許を別に取った所が問題になったのではないか?と言われています。
「ぷにコン」は画面の表示上、ゴムを指で引っ張るように「ぷに〜っ」と動くように表示される技術です。これで特許をとり「ぷにコンはコロプラが開発した技術ですよ!」って大々的に発表したのが任天堂の逆鱗に触れたのではないか?と思われます。
あ、特許ゴロとは、
パテント・トロールまたは特許トロール(英:patent troll)は、一般的には定義が困難であるが、自らが保有する特許権を侵害している疑いのある者(主にハイテク大企業)に特許権を行使して巨額の賠償金やライセンス料を得ようとする者を指す英語の蔑称で、その多くは、自らはその特許を実施していない(特許に基づく製品を製造販売したり、サービスを提供したりしていない)。
ーweblio辞書より引用
ポイントは、「自らはその特許を実施していない」と言う点で、自分で実現するために必要な特許を取るのではなく、実用性があるかどうか自分で使うかどうかもわからないけれどとにかく特許を取りまくって、実際にそれを利用したサービスや機能がでた段階で訴訟を起こすと言うものです。
任天堂は、きちんと取得した特許をベースにゲームを開発していますので、特許ゴロにはなりません。
要は、他の特許ゴロからタッチパネル系のゲームの操作性の一番ベーシックな部分を守るために任天堂が特許を取ったのに、そのうわ被せのように「ぷにコンはスマホで動かすのに独自にコロプラが特許をとったんですよ!(他の会社真似しないでね)」のように大々的に発表したのが問題だったのでは?と思うのです。
例があっているかはわかりませんが、”任天堂公園”と言うみんなが無料で使える公園があったとして、その中でコロプラくんが砂場を占拠して、「ここは俺の場所!」とかって言い出した…で、あってるかな?
ちなみに今回の事件、2016年にすでに任天堂が一回「あんまり度がすぎる事をしないようにね」って釘をさしているんですよね。奇襲戦ではないです。
それを「シラネ。ぷにコン最高だぜ!」と無視してきたコロプラの方が部が悪いとおもうんですよ。
「特許なんてあるから新しい技術が生まれなくなったり、それを良くしようと言う発想が阻害されるんだ。アイデアはもっと自由にあるべきだ!」と言う意見もあるかもしれません。でも、これ、実は逆なんです。
ゲーム会社と言う枠を超えて、ほとんどの会社が研究開発に力を入れています。日々、研究者たちは新しい技術・アイデアを生み出そうとしているわけです。そうして新しい技術を作り出して特許を取り発表するのです。これが「新しいアイデアできたよー!みんな使ってねー!」となると、研究者の給料はどこから出るのでしょうか??
研究者はフリーではない限り、会社から給料をもらっている訳です。それが当たるかどうかもわからないものに対し「研究開発費」と言う名目で予算を確保しているんですよね。
例えば、製薬会社。新薬製造のために膨大な研究開発費を使って新薬を作っています。もちろん根底には「病気を治すために頑張る!」と言う志があると思いますけれど、会社としては莫大な研究開発費を回収しなければいけません。
なので、新薬には一定期間の特許(独占販売)が適用されるのです。その間の売り上げは独占できるので一気に会社は躍進し、研究開発費を回収できます。ちなみに期間が切れると他の製薬会社も作れるようになります。これが”ジェネリック医薬品”です(ゾロ品とも呼ぶ)
研究開発にはお金がいる。そのために会社は研究開発費を捻出する。会社は慈善団体ではないので費用を回収しなければいけない訳です。「良く作ったね。えらいね。」と言うのが特許であり、知的財産なんですよ。
特許と言う概念が存在しなければ、苦労して作った新製品が、中韓国などで即時に安価でコピーされて発売されてしまう現実があるのです。
正しく理解して欲しいのは、
ごくごくベーシックにきちんと特許をとって、特許ゴロから業界を守っていた。秩序が保たれていた状態の中、コロプラが「ぷにコン」特許をとって操作性を独占しようとした。
と言う点です。
現在、スマホゲーで任天堂に特許使用料を支払ってゲームを作っているとは思えません。もし、そうだとしたら任天堂は天下をとり、無料ゲームはほぼゼロになっていた事でしょう。おそらく暗黙の了解で解放していたのだと思いますよ。
今回の件、
- 任天堂の心が狭いのか?
- コロプラが特許ゴロなのか?
- 特許自体が不要なものなのか?
と言う観点で考えてみると深いですよ。
ちなみにAppleでスティーブ・ジョブズがiPhoneを発表した伝説のプレゼンでも「特許取得済み!(Patented !!)」って言う一節がありますよ。
ちなみに、裁判になると任天堂法務部が出てまいります。任天堂の法務部は最強伝説があるので、「任天堂 法務部」で検索してみると暇つぶしになりますよ。
僕の感想では、「任天堂がゲーム特許のあるべき姿を示したけれど、コロプラが逆らったからゲーム業界を代表して、仕方なく裁判した」と思っております。
では。