Twitterである呟きがリツイートされてきた。
「3 千葉 5」
意味がわからない。Twitterのアカウント名は”ワクワクパンダ”これもよくわからない
僕は3日後、この呟きの意味を知る事になる。そう、呟きが流れてきてから3日後の金曜日。会社の社員食堂で昼食を食べていると地震速報が流れてきた。”千葉で震度5の地震”が発生したとの事。
僕は神奈川にいたのでそんなに地震は感じなかったが、千葉県では結構な被害が出ているらしい。
「偶然だよな?」と思いつつ僕はそのアカウントをフォローする事にした。
そのアカウントは基本的に呟かない。なので自分のTLに流れてくる事はほとんど無い。すっかりそのアカウントを忘れた数ヶ月後のある土曜日に電車で移動中にTwitterを確認していると”ワクワクパンダ”が呟いた。
「24 山形 4」
念のためリツイートしておいた。山形で震度4の地震が起こるかもしれないからだ。
そしてすっかり忘れた頃、実際に山形で震度4の地震が起きた。カレンダーで数えてみるとそのツイートを見てからちょうど24日後の事である事を知り鳥肌が立った。
「もしかして、地震の予言ツイートなのでは無いか?」と。
某巨大掲示板でもこのアカウントは噂になりあっと言う間に彼のフォロワーは増えた。ただ、プライベートな事は一切呟かないので、彼の正体が全くわからない。彼のプロフィールを見てみると、「フォロー1 フォロワー54392」となっていた。彼が誰をフォローしているのか気になったので、調べてみると、海外の観光地にあるパンダキャラのアカウントであった。そのパンダの呟きは日本語では無いので何を書いているかはよく分からなかった。
彼はパンダが好きなのだろうか?
その後も、
「7 北海道 5」
「4 福岡 4」
など呟き、それらが次々と的中していく。
ネットでは”人工地震説”や”未来からのタイムトラベラー”など色々な噂が立った。
その的中率からついにマスコミも彼を信用しだし、彼が呟くとテレビにニュースで報道されるようになった。
「…ワクワクパンダさんが呟きました。 5日後に沖縄で震度5の地震が来る可能性があります。あくまでも噂の範囲内ですが、沖縄にお住みの方は地震に備えて準備しておいてください。」
また、世界の科学者が彼の呟きと実際に起こった地震の関連性をビックデータを用いて調べたした。データサイエンティスト達が生き生きしだした。
彼が呟かなくても地震は起きる。「なんだ完全な予想は出来てないじゃ無いか」と思う人も多く、信ぴょう性の低下に繋がったのだが、それらの地震は全て震度3以下であった。「毎日数多く発生している震度3以下の地震は呟かない。実際に実害が起こる可能性がある震度4以上を呟いている」結果的にそう言う結論に行き着いた。
結果的に一時は下がった信憑性がまた上がりフォロワー数は20万人を超えた。誰だって地震は怖い。事前に知ることが出来れば避難する事も出来る。大震災による被害を何回も受けている日本という島国にとって今や”ワクワクパンダ”は救世主になりつつあった。
そのうちに”ワクワクパンダ”の偽物(偽アカウント)などが量産されていた。それを誤ってフォローし、リツイートする人がいる状態になり、逆に混乱する人が増えてきたのもこの頃だ。
ある日、電車に乗っていたら、”本物の”彼が呟いた。
「-2 南海 7」
僕がそれを見たとき、僕がこの世にいなかったのは言うまでもない。