はじめに
イケハヤ界隈の人を見ると自称コンサルタントが多かったり、セミナーや教科書(情報商材?)を売ってる人が多いように感じます。それを見るたびに(僕は買ったりセミナーに参加したりはしないです)「この人って本当にその分野で詳しいのかなぁ?」って思うことが多々あります。
エンジニア業界で有名な言葉にも「完全に理解した」ってのがあります。ポプテピピックって漫画でも有名な言葉ですね。
有名な絵
よく、新しい言語を触ってみたり、新しいサービスを使ってみた時に発生する思い込みの現象(認知バイアスって奴)です。
ダニング=クルーガー効果
実は、この現象には名前が付いています。「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれています。
ダニング=クルーガー効果とは、Wikipediaによると、
能力の低い人物が自らの容姿や発言・行動などについて、実際よりも高い評価を行ってしまう優越の錯覚を生み出す認知バイアス。
とあります。
なぜこのようなことが起こるかと言うと、
- 自身の能力が不足していることを認識できない
- 自身の能力の不十分さの程度を認識できない
- 他者の能力を正確に推定できない
- その能力について実際に訓練を積んだ後であれば、自身の能力の欠如を認識できる。
と言う状態が起こるからです。
なので、人は新しいテクノロジーなどに最初に少し触った時に「完全に理解した」モードに入り(自分の能力の不十分さの程度を認識できない為)、その後実際に始め出してその技術の本質を理解する事により、本当にわからなくなり、「あれ?俺全然理解してなかったわ」となり、そこから、じわじわと本質を理解していき「だいたいわかるわ」と言う風に自信が変わっていく曲線です。
見事にこのような曲線が出来上がるわけです
イケハヤ界隈はこの最初の「完全に理解した」状態でコンサルタントを名乗ったり教科書を書いたりするんですよね。(特にイケダハヤトさんは、Youtubeのチャンネル数も少なくただパワーポイントの紙芝居に音声を載せているだけの知識しかない(当時は銀の盾も貰ってませんでした)のに”Youtubeの教科書”をなんと29,800円で売っています。完全にダニング=クルーガー効果の「能力の低い人」が陥りやすいパターンですね)
”あなたもすぐにお金持ちになれる!”系の商材屋さんは基本的には「俺と同じことをしろ」スキームなのでこの「完全に理解した」はあまり使われませんが一部のウェブビジネス系だったりプログラミングセミナー系の商材屋(僕の商材を買ってプログラミングの勉強をすれば一件数十万円の案件を取れますよ!みたいな…)はまだダニング=クルーガー効果のバイアスで商材作っているかもしれませんね。で、本職のプログラマーから「んなわけあるか!」と突っ込まれるのです。
昔話を…
昔、僕は1995年くらいに仕事の関係上、Excelのマクロ(VBA)をシコシコと書いておりました。当時は「完全に理解した」モードだったのですが、2019年の僕が当時のソースを見ると「まだまだこの当時は本質を理解していなかったな」と言う感じです。まぁ別に僕はVBAの教科書も売りませんでしたし、ただ仕事の一環としてやっていただけですけれど。
ちなみに僕はWindows3.1を”完全に理解して”おりました。これはWindowsのテクノロジーおよびAPIを全て理解していたからです。「できるか?」に対して「このAPIを使えばできます」もしくは「無理です。なぜなら…」と完全に会話できたんですよね。もちろんすげー勉強しておりました。インターネットも不十分な時代でしたから数千円する専門書が僕のバイブルでした。常に小脇に抱えて会議に参加していた思い出があります。これは経験値が十分についたから言える事だと思います。
人にものを伝えると言うこと
人にものを伝える事は大事です。そして思ったよりも難しいです。
例えば、会社として組織が継続するためには上司が部下を育成する必要があります。そうしないといつまでたっても人は育ちませんし、代謝が止まってしまい能力の低い部下がそのままの能力で昇進したりします。これはとても(組織として)危険です。
僕だって勤続26年。数えきれない人間を育成してきて、その部下に先に昇進されたりしています(いいんですけれどね)
やっぱりダニング=クルーガー効果によって能力が低いのに「俺はこの分野の第一人者だ!」と名乗ったり高価な教材を売ったり、(価値のない)セミナーを開いたりして、育成ではなくただの金儲けをするのは間違っているよって事なんですよね。ちょっと焦り過ぎと言うか…自信がつくのは良い事ですけれどその後には挫折が待っていますし。
怖いのはそれを読んだりセミナーを受けたりする事で、その人(受講者)が「完全に理解した(もちろん、ダニング=クルーガー効果での”能力の低い人”)状態」になったまま、また「その道の第一人者」を名乗る事です。
これにより無知なままのコンサルタントやプログラマが量産されることになります。マクロな視点でみるとこの国の技術力の低下につながる訳です。
終わりに
例えばこの人(イケハヤさん)、有名ユーチューバーでもないし一定の評価(チャンネル登録者数)を満たした時にもらえる通称『銀の盾』も貰ってません。この人の教科書は何を教えてるんですかね?(2020/7月にチャンネル登録者数26万人になって、やっともらえた模様。通常は10万人が目安と言われています)
皆さんも最初の「完全に理解した」モードで自慢すると恥をかきますよ、興味があるのならばその先に進み、悩み抜くフェーズを経験することをお勧めします。そこからが(苦しいけれど)楽しいし、自分の経験になるんですよね。そして本当の力を(身をもって)得ることができて「第一人者(会社では有識者とか呼ばれます)」になれるんだと思います。
では。