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イケ浜

テケテンテン、テテンテテンテン

ー明転ー

さてさて、

あるところに働かないで、スマブラばっかりやっているハヤトと言う男がいました。

あまりにも働かないので、妻のミキは「明日くらいちゃんと働いておくれ。3人の娘も育てないといけないから」と強めの口調で言いました。

「チッ、ウッセーな」と言いながら重い腰を上げて働くハヤト。
しかし、体は動かさず、カタカタと”のーと”なる物を書く次第。

ある朝、早くからハヤトが”のーと”を書いていたら、なぜかバズって数時間で100万円もの大金を手に入れることができました。時代と商材がヒットしたのです。

「うふふ、大金ゲットですね」彼は”ついったー”なる掲示板に書き込んだのち、儲けた金で久々に界隈のメンバーを呼び、大宴会を開きます。
「ここはね、僕がね、全部出しますよ。なにせ僕が書いた”のーと”が正当な評価を受けたのでね。カッカッカッ!!」
ハヤトは笑いながら、久々に98円のカップラーメンではなくて、ローソンのおにぎりを振る舞いながら、みんなでストロングゼロを飲みます。

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「うふふ、この調子だと年商3億6500万円ですね」「再び億プレーヤになった訳です」と上機嫌、そのうちに眠ってしまいました。

翌日、二日酔いで、ハヤトは目を覚まします。「カッカッカ。僕は億プレーヤです。何もしなくても毎日100万円入ってくるのですよ。自分の資産を持つことが大事なんですよね」と趣味の”ゆーちゅーぶ”の録画をはじめます。

それを見ながらミキが一言。
「ハヤトくん、何を言ってるんだい?あんた無一文じゃないか」
「何を言っているのですか?僕は1日で100万円稼ぐ男ですよ。もっと労いなさい」
呆れた顔で、ミキが一言。
「何を言っているの?昨日飲みすぎたんじゃ無い?あなたの”のーと”は売れてないわよ。1部もね」

えぇ?あれは夢だったのか?
「ハヤトくんが、みんなに振る舞い酒を出したのも、私が方々から借金して開いたのよ」

こりゃまいった。

ハヤトは大きく反省して、返済のために近くのコンビニで働きます。
バイト経験のないハヤトでしたが、生きていくため、ミキに出してもらった借金を返すため。仕方なく働くことにしました。
対面で話すことが極端に苦手なハヤトでしたが、背に腹は変えられず、時給900円でバイトするのでした。

休憩時間に”ついったー”で「本日も日商9万円です。何もせずに稼いでくれる。これも資産を作った結果ですね」と書き込みます。精一杯のやせ我慢でした。

ハヤトは気持ちを入れ替えて、コンビニのバイトに精を出しました。そのうちに本当は貯金が溜まっていきます。もともと質素なハヤトは98円のカップラーメンと廃棄予定の弁当で食事を済ませていたからです。
唯一の楽しみはスマブラとストロングゼロ。

さて、そういう生活をして数年。町では悪評がたっていたハヤトのイメージも好転します。
「あの人、最初はどうかも思ったけれど最近はちゃんと働くねぇ」
「人が変わったようだ」

そうして本当に稼いだお金は実に300万円になりました。
結果、このお金を使い、働いていたコンビニのフランチャイズのオーナーになる事ができました。

実際に資産と事業を手に入れたのです。

夜にミキとストロングゼロを飲みながら「やっとボクも実質共に経営者になったよ」と安堵の息を付きます。
そこでミキが口を開きます「ハヤト、あんたが稼いだ100万円。あれ本当だったんだよ。夢じゃなかったんだよ。あんた金が入るとすぐに無駄遣いするじゃない。だから内緒にしておいたのよ。だから100万円は本当にあるの」

「ミキそれは本当なのかい?…でもあれを夢と言ってくれてよかったよ。だから僕は心を入れ替えてちゃんと働くことができて店を持つことができた、ミキ本当にありがとう!」
心の底からハヤトは喜びました。

そこでミキは言いました。
「ハヤトこれを”のーと”に書いたらどうだい?『僕が経営者になるためのノウハウ大全』みたいなのさ」

一瞬喜びそうなハヤトでしたが、ストロングゼロを流し込みながら言いました。
「いや、もう書かないよ。また夢かもしれないからね」

ーテケテンテンテン…暗転ー

エピローグ

ー明転ー

数年後、コンビニの経営は悪化していく一方。
土地柄もあって来客は少ない、バイトにくる人は少なく、ハヤトとミキは交代でコンビニのシフトに入り、結果全財産を払って店を畳む事にしました…。

ー暗転ー

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