TBSの日曜のドラマ「半沢直樹」が驚きの視聴率をたたき出してます。
毎週月曜日のYahooトピックには半沢直樹の視聴率が噂になっているし、流行語大賞も変な勢力が働かない限り「じぇじぇじぇ」か「倍返し」になるのではないでしょうか?
僕は堺雅人と言う俳優が好きだし、原作者の池井戸潤さんの作品も好きです。でも、なぜ、ここまでの人気なのでしょうか?まだ、最終回は迎えていないので、この後どうなるかわかりませんが僕なりの考察を書いてみます。
いくつもあるので箇条書きで。
1.原作が良い
あたりまえなのですが、ドラマは原作ありきです。原作者の池井戸潤さんは「下町ロケット」で直木賞を貰ったり今、ノリに乗っている人です。このドラマの原作『オレたちバブル入行組』 『オレたち花のバブル組』も勿論面白いです。この人の小説の良さは、ビジネスシーンでの勧善懲悪です。悪者は偉く、いかにもワルです。それに立ち向かう弱者(課長だったり、下町の工場の社長だったり)です。
2.テンポが良い
ドラマなので、次週が見たくなるような”引きつけ”が必要ですよね。映画とかなら約2時間、テンポがだるくなる部分もあるでしょう。ドラマは視聴率が大事です。面白くないと次の週から見ないのも勿論自由なので視聴率が悪くなることはあるでしょうね。このドラマ、実に”引きつけ”が上手です。なぜなら、この原作は連載小説なのです。同じく連載と言う形を取っているので、次回を読みたくなるように上手く出来ています。僕も「下町ロケット」を読みましたが、「そろそろこの辺で寝ようかな・・・」なんて時に面白い展開になってくるので止められません。このノウハウが上手くいかされているのでしょう。
3.決め台詞が良い
このドラマの決め台詞「やられたら、やり返す。倍返しだ。」と言うキーワードが重要だと思います。見ているうちに「十倍返し」になっていましたが。このキーワードがなければこのドラマ、ここまでヒットしなかったと思います。サラリーマンで上司やお客にこっぴどくされる事って多いのではないでしょうか?日本人の特性なのか、そこで、負けてしまい居酒屋で愚痴るのです。そんな人々にとって、”やられたら、やり返す。”だけでは無く”倍返し”でやっつけてやる!と息巻く主人公に「俺も、そうなりたい」と思いながらドラマに自分を反映出来るのではないでしょうか?
4.放送時間が良い
このドラマ、日曜日の21時に放送されています。「日曜日の夜」と言うのが良いと思うんですよね。疲れたサラリーマンは平日のドラマ(それも、恋愛物や学園物)を見る気力はありません。「HDDに撮って」なんて人はもう少ないでしょう。サラリーマンの休日、土日。それも昼間は接待ゴルフや家族サービスが入っていたりするのです。それが全て終った時、「さざえさん症候群」で月曜日を思ってブルーになるかもしれません。でも、そんな時、そんな時間にジャストポイントで「半沢直樹」が始まるのです。これはラッキーとしか言い様がありません。
5.ターゲットが良い
このドラマのターゲット層はサラリーマンだと思っています。恋愛物でも無いですし、愛憎劇でもありません。子供(失礼ですが)が見るものでは無いですし、多感な高校生が見ても「やられた」経験が無いので思い入れが無いかも知れません。夫婦で見ても良いですし、サラリーマンが一人で見てもOKです。僕はこのターゲット層が今後、ドラマが生き残る道では無いかと思います。
6.役者が良い
堺雅人がいい俳優と言うのは「リーガル・ハイ」のエントリーで書きましたが、このドラマ、実に個性が出ています。机を「バンバンバンバン」叩いて精神崩壊に持ち込む腰ぎんちゃくのおっさん。何食わぬ顔で生きながらどこか焦っている支店長、オカマみたいな国税局、ザ・悪な悪役。全てがスマートで決まっているミッチー。家に帰れば美人な奥様(上戸彩)(余談ですが、堺雅人はリアルに家に帰ると菅野美穂が待っているんですよね。うらやましい。)、壇蜜(お色気要員?)、芝居がうまい下手以外に非常に上手いキャスティングをしていると思います。
7.音楽が良い
このドラマ、主題歌がありません。重々しい音楽が鳴るだけです。でも、これが良いのです。変なタイアップの付いた曲はいりません。この世界観に合うような歌詞の曲はありませんし、一番のクライマックスシーンで主題歌が流れるのもおかしいです。クライマックスシーンは堺雅人演じる「半沢直樹」の逆襲の台詞の応酬が”歌詞”なのです。間違っても、ジャニーズとかには歌って欲しくないですね。主題歌がないから余計な色がつかない。これがポイントなのです。
これだけ上手くハマったドラマ、「半沢直樹」確か、原作で2部構成で、後半でもっと大きな話になっていきます。
これからでも、見れますよ。みなさん、みなさんも「やられたら、やり返す。倍返しだ!」位の気持ちで仕事をがんばりましょう!
この後もこのシリーズは続きます。TBSが映画化を考えているのかわかりませんが、よりスッキリしたければ、次作「ロスジェネの逆襲」を読んでみると良いと思いますよ。