はじめに
Brainと言うサービスが始まったと同時に炎上しています。Brainはnoteと同様にコンテンツを無料(もしくは有料)提供するサービスですが、Brainにはnoteと違う2つの機能があります。
- 他人の書いたBrainのコンテンツをアフィリエイト可能
- レビュー機能
この2つの機能、相乗効果で悪い方向に向かっています。今回はそのBrainについて考えてみようと思います。
なお、僕はセキュリティー面にまだ不安を感じている為、クレジットカード必須のこのサービスはまだ利用していません。念のため。
参考
Brain | 紹介機能付きコンテンツ販売プラットフォーム ブレイン
Brainとは
Brainは迫佑樹さんと言うプログラマーが開発したプラットフォームです。
クリエイター向けプラットフォームのnoteに対して、ビジネス・スキルに特化したプラットフォーム。と本人は言っております。
良いビジネスは広められて正しく評価されるべきと言う理念から成り立っております。
クリエイター達のプラットフォームとしての評価は作者にとっても厳しい(芸術を数値化するのは難しい)。
しかし、Brainはビジネスの価値提供が本質なので、評価されるべき(価値は数値化できる)。
僕はエンジニアとして、この志にすごく共感できます。
ただ、悪質なコンテンツ排除として“購入した人だけがレビューできる”機能。これこそが落とし穴だったかもしれません。
Brainの落とし穴
購入した人だけがレビューできる。
これが落とし穴の一つです。
これを利用して自分で紹介(アフィリエイト)する事で自分に紹介料が入ります。
アフィリエイトの割合は最大50%(2020/2/2時点)となっています。
つまり、
1.Aさんが10000円で商材(あえて商材と書きます)を販売。紹介料は50%
2.Bさんが10000円でAさんの商材を購入して、「Aさんの教材、学びしかない!こんなに安くて良いの!?」などと紹介文を書きCさんに紹介。その時点でBさんに5000円の収益。
3.Bさんは2名以上に紹介する事により減価償却でき、それ以降の紹介料が利益となる。
このサイクルがマルチ商法と間違われたりする点であり、悪用が可能な抜け穴だったのです。
Brainを使っている利用者が“先行者優位”や“早く始めたものが勝ち”と言ってコンテンツを売っているのはこのサイクルを悪用したために可能な技です。
また、(いかに自分が良いものを買ったかと言う)レビュー(アフィリエイト)をして、紹介料をもらうためには必然的に評価は⭐︎5(2020/2/2時点では最高評価は5)が乱立し、⭐︎5のインフレ状態が起きているのが現状です。
イケハヤに荒らされたプラットフォーム
このBrainの落とし穴(セキュリティーホール)を利用したのがインチキ情報商材人のイケハヤです。
イケハヤは以前からnoteにて”稼ぐノウハウ”を自身で販売していましたが、Brainに移行(ついでに料金を上げる事を示唆)し、「僕のノウハウを紹介してくれたら、(紹介料50%なので)すぐに元が取れますよ」と紹介を促します。
ついでに、noteに最後っ屁となるように”Brainの紹介に飛ぶ”アフィリエイトを貼り付けています。これは後に問題になると僕は思っています。
noteにBrainのアフィリエイトを貼るのは大きな問題を孕んでいると思います。
「稼げます」が乱立するコンテンツ達
さて、この落とし穴を使って大量の”稼げます”系のコンテンツだらけになってしまいました。実際のコンテンツは買っていないので内容は分かりませんが、逆に買った事により購入者が「損したなぁ」と思った時に「そっかレビューで高評価つけて、自分で紹介すればペイできるんだ」と言う戦法を使うことが可能になってしまっています。
こんなのは不適切なコンテンツです!
これらの(あえて書きますが)”不適切なコンテンツ”の乱立により、迫さんが思っていた”ビジネス・スキルに特化したプラットフォーム”としての機能がほぼ体を成していないのが現状です。
ここで、「JavaScriptの体得法」「財務諸表の読み方」みたいなスキル重視型のコンテンツを投下したくても大体数の”稼げます”コンテンツに埋もれてしまうのが現実なのです。
言ってみれば、本当に美味しい料理だけを提供する為に用意した土地に風俗街が(後から)できてしまった感じになってしまします。やり方はやくざと変わりありません。
友人ではなくフォロワーを失うリスク
これらの話を聞いたり、他の人が書かれたブログを読んでいて、ふとア○ウェイと言うあまり良い噂を聞かないサービスを思い出しました。
ア○ウェイにはまってしまうと自分のノルマを達成するために友人や親戚を巻き込んで商品を売りつけてしまい、結果友人を失うと言うリスクがありました。
この状態は(現在の)Brainにも発生していると思います。
自分のフォロワーに対して紹介することにより紹介料が発生すると考えた場合、(自分の元をとるために)悪質なコンテンツを紹介すると結果的に自身のフォロワーが激減することが多いに考えられます。
一度フォローしたアカウントを解除した後に再度フォローする人はほとんどいないと思う為、結果的に自身のアカウントの”信用”を失う可能性が大きいと思います。
あなたは数千円、数万円のために友人やフォロワーを失っても良いのでしょうか?ちょっと考えればわかる事だと思います。
Brainはスキルハックの夢を見るか
迫さんが作ったBrainはスキルハックと言う沢山の知の集合体として機能すべきでありました。
そしてそのスキルが次のスキルへと紹介されさらに新しいコンテンツができて集合知としてどんどんと溜まっていき結果的に本来の意味の”ブレイン=脳”となるはずでした。
迫さんの会社。Brainを運営している。
プログラマーに特化した人の集合体としては日本ではQiitaなどが挙げられます。
これは有料ではなく全て無料であり善意によって広められているノウハウ集合体であります(スポンサーや広告収入で運営しているみたいです)
Brainは最初から有料化せずに段階的にコンテンツの質を高め、一定の質の高いコンテンツが集まった時点で、有料・無料記事の選択、その後のリリースとしてレビュー機能を実装し、最終的にアフィリエイトとつなげていったほうがよかったのかもしれません。
ライバルをnoteにおかずQiitaに置いたほうがよかったのかもしれません(結果論ですが)
ただしその場合は数年の赤字経営が(かなりの確率で)前提となります。
経営者としてはこの点が非常に難しいところであったのではないかと考えてしまいます。
終わりに
志は良かったけどサービス過剰のままリリースしてしまい、後から修正していく。これはwebサービスではよくある事です。
新しいアイデアのwebサービスはリリースしたもの勝ち、デファクトになった時点でゴールとも言えるかもしれません。
しかし、今回は”お金を動かす”サービスです。
夢の世界を実現したけれど”策士策に溺れる”ごとく抜け穴から責められてしまったのかも知れません。
シロアリは発生するとその家の木を食いつぶすまで大量発生すると言います。Brainにとってイケハヤ率いる”シロアリ群”がそれに当たらないのを祈るばかりです。
個人的にはサービスを一時停止してセキュリティーを向上させて(本人確認などして永久BANを可能にするなど)、有志による不正コンテンツの排除などの機能を実装してから再度サービスを再開しても遅くないと思います。
Brainはスキルハックの夢を観れるのでしょうか…
良い方面に向かう事を僕は願っています。
“儲けれるプラットフォーム”ではなく”スキルが集まったプラットホーム”として。
Namiaki the Programmer
追記(2020/2/5)
さて、Brain、その後利用規約を更新した模様です。もっと早くやっておくべきでしたが、何も対処しないよりは良いと思います。
「短期間でお金持ちに」は禁止コンテンツ
と言うことで、Brainが正常化すると思って中を覗いてみました。
ちゃっかり生きてる
うーん、まだ生きてますね、イケハヤコンテンツ。“【最短ルート】素人でもすぐに稼げる!”は”「短期間でお金持ちに」をうたうスキーム”そのものなのではないでしょうか?この規約ができる前に存在したコンテンツは対象外なのでしょうかね?
このコンテンツ、スクリーンショットからはコメントが664件ついてますので、影響力高いのではないでしょうか?こう言うコンテンツから削除していくのが運営として正しい道なのではないでしょうか?
迫さん、大丈夫でしょうか?イケハヤには逆らえないのでしょうか?うーん、分かりません。もしかして裏でつながっているのでは?…と疑ってしまいます。
このイケハヤコンテンツを筆頭に正しく違法コンテンツを削除していかないとBrainの未来はないと思います。早く削除すべき…正しい”スキルハックス”の集合体になるためにまずすべきこと、間違ってませんか?
よろしくお願いします…