僕が会社に入ってから二番目に最初に恋をした女性。名前を『A』さんと言う。
なぜ一番目じゃないの?と言うと一番目は入社前の入社試験の時から知ってた同期(入社試験の時に知り合った)で入社後スグに僕と仲の良い同期と付き合ってしまったのでどうしようも無かった。
これに関しては『5月の終わり、6月の始まり』として短編小説にしてるがまだ公開していない。
さて本題。
僕が会社に入ったのは1993年。バブルの残り香が残っていたのか、課長ってのは1日席に座って新聞を読むか判子を押すだけの存在で課に1人は庶務担当がいた時代。
課長が偉かった時代。部長には個室があった時代だ。
時は流れ僕の会社は今は課長が現場を飛び回りペコペコしてたり、庶務担当はほとんどいなくなり本部長秘書を兼務してたりそんな感じ。今考えるとだいぶ違う。役職の価値が下がっているような気はしている。
いきなりだが『A』さんには彼氏がいた。それも社内恋愛で彼氏は僕の先輩だった。
なので僕の恋はこれまた成就する事は無かったんだけれども、懸念してたのは先輩の女癖。先輩はかっこ良かったので結構遊んでいたのだ。
その後二人は結婚したけれど、すぐに事実上の別居状態になった。結婚式には参加したけれど、その日の夜に色々とトラブルがあったみたいだ。ここで書くには野暮すぎるので書かない。
結婚前、『A』さんは狛江に住んでいた。
当時、ミスチルの『雨のち晴れ』って曲を聞くたびに『A』さんの事を思ってた。
♪1DK狛江のアパートには二羽のインコを飼う
と言う歌詞があったからだ。
『A』さんは底抜けに明るくいつも笑顔だった。その笑顔で元気になれた。僕の事を「すごいねー。仕事できるねー」といつも褒めてくれた。とても嬉しかった。
他の女性社員とも仲良く、僕たちとよくカラオケに行っていた。当時は娯楽といえばカラオケくらいしか無かったがそれでも楽しかった。みんなで新宿のコスプレカラオケに行ったのも良い思い出だ。
さて、『A』さんはその後大病にかかる。脳の病気らしく入退院を繰り返していた。退院後はウィッグをつけてたらしい。
それでも、よくに飲み会とかにも積極的に参加していたし明るかった。「病気で飲めないのよぉー」とお酒は飲んで無かったように記憶する。
僕が北九州の小倉で仕事をしていた頃、『A』さんの訃報を知った。
いつか来る日、が来たような気がする。覚悟は出来てた。
告別式の日は僕が東京に戻れる日だった。
久々に会う顔もあって懐かしいやら悲しいやら複雑な気分になったな。
『A』さん、ずっと好きだったんだぜ。