まだネットがパソコンのみでスマホが無かった頃。
普通に残業をしたり飲んで帰ってきた金曜の深夜、特にみようと思っていなくても見てしまえば最後まで見てしまう。
「毎度お馴染み流浪の番組」
それが”タモリ倶楽部”
テーマが毎回マニアックすぎるので、刺さる回ってのは人それぞれにあるのではないだろうか?
おどる水着の女性のお尻がただただ流れるオープニング。(後半はCGに変わったように記憶する)
ゲスト(案内人)もまだ売れる前の芸人が出てきたり。結構大御所も出ていたような気がする。同じタモリの長寿番組である「笑っていいとも!」に出演する事を夢見てた芸人は多いと思うが、深夜番組であるこの番組ではまだそのハードルは低かったのでは無いだろうか?若手の登竜門でもあり、大物も気兼ねなく出演できるような番組。
タモリは料理とお酒が好きなので料理をする回は好きだった。
大抵、ゲスト含め出演者が料理をするのだが、後半はタモリさんがお酒を飲みながら自分で調理をしていた。そこまで含めてフォーマット。
また、「ラーメン屋のツマミ(具)だけで酒を飲む」と言う企画も思い出深い。当時お酒系には井筒監督がゲストである事が多く、僕個人としては彼は好きではなかったがそれでもこの番組では良いおっさんキャラになっていた。
音楽系も結構面白かった。
「オリジナルエフェクターを作ろう」と言う回では本当に回路図とか詳しくないゲストを含めてとりあえずエフェクターを作ってギターとアンプを使って実際に音を出す。変な音になるのが分かっていてもとても興味深かった。
あとはマスタリングの回もあったはずだ。ミキシングだったかもしれないが、本当にマニアックな企画だった。
靴べらを特集した時のやる気のないグラフ
特に毎週楽しみにしていると言う訳では無いけれど興味深いネタに着目しているケースが多く、タモリの趣味・造詣の深さがその内容を後押しする。
また、タモリは鉄道が好きなので、電車の企画はかなりあったと思う。「タモリ電車クラブ」で色々な事をやっていた。
数年前は僕が毎日のように利用している南武線(と南武支線)を特集した回もあり非常に楽しく見させてもらった。
忘れてはいけないのが、名物コーナー『空耳アワー』である。
外国の日本語ではない曲を「日本語ではこう聴こえる」と言って実際にそう聴こえるかを検証する実にばかばかしいコーナー。
しかし、「どこからそんな曲を探してくるのか?」みたいな曲が出てきたり、空耳アワー中で流れるVTRが独特すぎて本当に面白かった。腹抱えて笑えるコーナー。
そんな番組が終わる。
基本的にネタはほぼ無限にあるので単純にタモリさんの高齢による勇退だと思う。
飛ぶ鳥跡を濁さず
タモリにはそんな潔さを感じる。
お笑いBIG3と言うレジェンドの中でタモリさんの生き方がとてもスマートだ。テレビのゴールデンタイムではしゃぐ訳でもなく、本当に趣味の番組を細々とやる。
そこには「落ちぶれてしまった」と言う感覚は一切なくて「タモリさんは本当に好きな事やってて羨ましいなぁ」と言う感覚しか残らないと思う。
この番組自体のフォーマットはすごく面白い。決してゴールデンタイムではできない深夜のお楽しみ。
でも、タモリ以外にこの番組を乗りこなせる人はいるであろうか?決してでしゃばらない。適度な蘊蓄はプロをも凌駕する。
あくまでも飄々と。
このような番組は形を変えても残って欲しい。もちろんタモリ倶楽部と同じフォーマットは出来ないだろう。でも時間を変えて「何が面白いのだ?この企画」みたいな番組が見たいものである。