TBSの日曜劇場『VIVANT』が大好評です。僕も毎週ジェットコースターに乗るような感覚で見させていただいています。
この作品、TBSの福澤さんという監督が原作も書いたオリジナル作品でして、TBSを定年間際の福澤克雄さんの集大成という作品なのか俳優陣も「こんなにキャスト集められるのか?」と言うほど豪華ですし、おそらく1話撮るのに1億円以上かかっているのでは?と思うほどの豪華作品です。
あと今年は宮崎駿さんの『君たちはどう生きるか』も公開されてましたね。毎回「この作品で引退する」と言う”引退詐欺”とも言われている宮崎さんですが流石にもうご高齢。やりたいことを全部やったのでは?と思っています。
……福澤さんも宮崎さんも作品制作のドキュメンタリーを見ていると”ハラスメント”気質である事がわかります。手は出ていないと思いますが怒号は飛んでいますね。でもその2人を見ていて個人的に思うのは「良いモノを作るために妥協したくない」と言う点なのでは?と思うのです。
僕の仕事はシステムエンジニアなのですが体調を崩して休んでもある程度変えは効きます。組織なのでそう言うリスクヘッジはある程度考慮しているんですよね。勿論体調不良にならない事が一番ですがコロナ禍になってからは「少しでも体調が悪かったら休む事!」と言う今までとは世界が180度変わりました。
でもモノを作る人や演者はなかなか代りが効かない存在です。大規模な予算をかけて歴史に残るような作品を作る。生半可な気分で参加してもらっては困る!と言うのがクリエイターとか監督の本音なのではないでしょうか?
映像制作も音楽制作も沢山の人間が関与します。その中ではやはり”サラリーマン”も含まれるんですよね。普通に考えると世の中に何かを残せるような作品を作るようなクリエイターが社交的だったり世渡りが上手とは考えにくいのです。その為には”ちゃんとした大人”側の人のサポートが必要なんですよね。
なので、クリエイター側の意気込みが”ちゃんとした大人”側に上手く伝わらない事ってのも多いと思います。クリエイター側としては「なんで本気になってくれないんだ!?」と憤るかも知れませんしそれに対して「なんでそこまでしないといけないの?」と思う人も多いと思います。これはどちらが悪いという訳ではなくて熱量の違いだけではなく捉え方の違いという点もあるんです。
”働き方改革”によって残業時間などの制限がかかりました。勿論、残業をしない事に越した事はありませんが”ものづくり”…例えば映画を撮ったりすると公開日のような”納期”が発生します。公開日に無事公開させる為にはその何ヶ月前に映画は完成して編集が終了していないといけません。その為にはいつまでに…みたいな色々なマイルストーンが発生します。
その為「定時になったので帰ります」という残業をしない人で溢れかえると『公開延期』となり、また別の”ちゃんとした大人”に怒られる訳です。あとは作品の公開を期待している人たちの期待を裏切る事になります。
ここら辺のニュアンスを伝えるのが非常に難しいのですが期間限定であればある程度身体に負荷をかけても残業や徹夜をする事もやむなしと言う覚悟が無いといい作品は作れないのかもなぁ、と。これが何十年も続くと体も心も壊れてしまうのでダメだと思いますし、負荷をかけた分の対価として報酬(給料とか)は発生すべきだと思います。
また、ハラスメントに対して敏感な時代ですからちょっと荒い口調になるとすぐに訴えられる可能性だってあります。僕の会社のパワハラ上司も今ではそう言うのを考慮してか強いトーンでは怒らなくなった気がします。
でも、それはそれで”ちゃんと怒らないとダメな場面”も優しい口調になっていると言うか…理不尽な怒り方とかある特定の人ばかり攻撃するようなのはダメですが、明らかに「これはどう考えてもxxさんが悪いだろ」って言う場面でもあまり言いませんからね。
「終わったことは仕方がない。対策を考えよう」は僕もよく使いますが、同じミスが複数回続くと流石に苛立ちます(そう言う人が下についた事がないのでわかりませんが)
さて、昭和のおじさん達が自分たちのエゴを形にして作品を作り続けてきた時代もそろそろ終わるでしょう。
もう口うるさい、怒鳴りまくるあの頑固なおじさんはいないのです。
これからの時代どんな作品が出来上がってくるのでしょうか?
”あの頃の作品は骨太でよかった”と懐古してしまうか「そうきたか!」とワクワクさせてくれるか…楽しみではあります。
案外、過去作品に触れ自分たちでも『創りたい!』と思った時に同じような気持ち(拘りまくるために周りの人たちを振り回す)になるのかも知れませんね。
「若い頃に言われても全然ピンとこなかったけど、自分も実際にその年齢になってあの人が言ってた事がやっとわかったわ」みたいな事ってのはどのような場面でもあると思います。
そしてその世代の人がまた次の世代の人に同じ事を言うのでしょうね。そうやって歴史は繰り返されて人間という生き物はこれだけ長い間地球で天下を取っているのかも知れませんね。