お問い合わせはここをクリック!

撮り鉄とAdobeとインスタと違和感

撮り鉄(鉄道の写真を撮るのを趣味としている人々)に対してAdobeがPhotoshop講座を開いたそうです。今はAI機能もあるので、目的の写真(被写体=電車)を撮る為に木を伐採などしなくても(消しゴムマジック的な機能で)お望みの画像は作れますよ、と。凄く火力が強い皮肉だと思います。

それに対して、撮り鉄さんは「そういうのじゃないんだよ!それじゃダメなんだよ!」と言う気持ちなのかも知れません。

ちゃんとしたカメラ・レンズを使って、当時の『空気感』を切り取るからいいのであって加工はダメなんだよ!…と言う気持ちはわからないでもないです。
とは言え、私有地に入ったり他の乗客に繋がるような迷惑行為は許されるものではないです。結果的に電車遅延や運行停止になると本当にお金を払って利用している人は憤りのやり場がありませんから。……なので撮り鉄は叩かれてしまうんですよね。

Densya toritetsu

さて、そんな中ニュースで見たのですが関東の夜のイルミネーションを撮る為に赤信号なのに道路の真ん中に立ったりと所謂”映える”写真を撮りたいと言う人も増えてきているとの事。ロケーション的に写真が映える位置が道路の中にあったんでしょうね。だからと言って赤信号を無視しちゃダメです。撮り鉄と一緒。

僕にとってはこれらの人達って同族だと思うんです。写真家の前にモラルが無いと言うか…。

撮り鉄はマナーが悪い? − リービッヒの最小律(ドベネックの桶)

わからないでも無いんですよ。僕も写真を撮っていて「この物体(余計なもの)が無ければもっといい感じに撮れたのに…」って思う事は多々あります。その物体を消すのであれば”消しゴムマジック”を使えば消せるはず。あとは、「この角度から撮りたい!」とか「もっと寄って撮りたい!」言う気持ちもあります。でもその場所が私有地や立ち入り禁止区域だったりするとそれはやっぱり無理なんですよ。

最近の僕は歳をとったのか「その物体が映っているのもまた一興」って思うようになりました。最初は邪魔に思うかも知れないんですけれど”それがあるから味がある”と言うか。
突き詰めていくと、そう言うのが無い完璧な写真こそ”AIに作ってもらえばいいじゃん”ってなるんじゃないか?って。

Soudensen

こういう写真は送電線が写っているから良いのです

完璧な作品ってなかなか難しいと思いますし、「欠点が無さすぎる」と言うのは案外弱点なのかも知れません。無味無臭のような感じ。これは写真だけではなくて色々な芸術に当てはまると思います。小説でもインパクト(≒違和感)がないと「読んだけれど”はぁ、そうですか”って感想しかない」みたいな感じなってしまいます。

“ワンポイントの違和感”みたいな物が印象に残っている作品の方が観る人にインパクトを与えて結果的に後々残っていくような作品になる…と。
言い方は失礼かも知れませんがホクロがある人ってそのホクロがあるから素敵だったり印象に残ったりする事があるんですよ。
(コンプレックスに思っている人すいません)

Enoden jitensya niki

この写真は“江ノ電自転車ニキ”って有名な写真なんですけれど、これは自転車を漕いでピースしている人が写っていなければそれは電車写真としては最高かもしれませんが、そう言う貴重価値がある電車写真(なんか試運転とかだったみたいです)のど真ん中でピースをするだけで逆に有名な作品になった…と言うケースもあるんですよね。※この自転車の人は外国の方でわざと嫌がらせをしているのではなく、自転車で移動していたら、なんか沢山の人がカメラを向けているから手を振った(撮り鉄と言う物を知らなかった)だけです。

人の目に留まるものってどこかしら『違和感』があったりするんですよ。その方が記憶に残りやすいみたいです。なので、撮り鉄の皆さんは、是非”写真家”として変な工作(私有地の木を勝手に切ってしまう)とかせずに目の前のファインダーの中で作りえる最大の”自分ならではの作品”を撮ってもらいたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です