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お笑い芸人や劇団のプレッシャー – 2025年度新社会人へ –

お笑い芸人の深夜ラジオが好きなので毎週聴いています。
その芸人さんの中では若手からベテランまで現在でも単独ライブを開いている芸人さん(僕がよく聴いている中では、爆笑問題さん、バナナマンさん、空気階段さん)がいます。
爆笑問題さんやバナナマンさんは毎年ライブをやっているのですが、それに加え空気階段さんとかも含め、単独ライブの発表に関してはラジオで行う事がほとんどです。所謂『情報初出し』って奴です。

その時点でタイトルとイメージビジュアル(ポスターみたいな奴ですね)がほぼほぼ同時に公開されます。ファンだったりラジオリスナーが歓喜する瞬間。

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例)空気階段単独ライブ『ひかり』

さて皆さんご存じかどうか分かりませんがどうにもこの時点ではネタはほとんど出来ていないのが実情だそうです。驚きです。
会場と日時・おおよそのライブの時間は場所を押さえる為に事前に決まってからの発表となるわけですが、ほぼほぼ内容はゼロとの事(芸人さんにもよると思いますがラジオを聴いている限りの感想です)。勿論タイトルは考えた上で発表するのでコンセプトみたいなものはあると思いますが全然具体的にネタには落ちていないそうです。
(なお、爆笑問題さんは毎年ライブをやっていますがタイトルは固定(『爆笑問題のツーショット』)で、時事ネタを扱う事がほとんど。かつ沢山の作家さんがついておりシステマティックに作成しているそうです。……勿論ワンパターンでマンネリという訳ではないですよ)

ライブは告知発表してから実際に行うまでに数ヶ月の時間が空きます。ファンはそこでチケット争奪戦になり、芸人さんはそこから本腰を入れてネタを作る作業に入ります。


これってもの凄いプレッシャーのかかる作業です。一定のクオリティーだけでは無く常に前回までを上回るようなライブを行わないとファンは離れてしまいますしバナナマンさんくらいまで売れている芸人さんだとそもそもネタを作る時間を確保するのも難しいハズです。特に芸人さんは『人を笑わせる』仕事です。感動だけでなくしっかりと笑わせないといけません。

でも時間は流れていきます。刻々と迫る本番。ネタを作り練習して修正する作業を繰り返し行ってブラッシュアップしていく……ある程度の形ができあがるまでは、とてもじゃないけれど常人には想像できないような日々が続くのでは無いでしょうか?勿論、作るだけでは無くて実際に演じるのでネタを覚えると言う作業もありますし。

同じような事が劇団にも言えます。再演とか過去の海外の古典のリメイク(独自解釈)であればまだある程度の”元ネタ”はあると思いますが、まったく新しい公演となるとそのプレッシャーときたら……。
昔、大泉洋さんが所属する『TEAM NACS』という劇団で大泉洋さん自身が脚本・演出を行う舞台があったそうです。『下荒井兄弟のスプリング、ハズ、カム。』というタイトルとキービジュアルを撮影後、大泉さんはとてつもないスランプに陥ります。元々『TEAM NACS』は毎回リーダーの森崎さんが脚本・演出を行い、それを他のメンバーと侃々諤々しながら完成させていく方式です。本当にみんなガチ喧嘩状態。でもそれは森崎さんのベースとなる台本が出来ており全員で「それをより素晴らしいものにしたい!」という思いからの喧嘩。舞台の幕が上がれば彼らは最高の舞台を演じてくれます。
舞台が終わればまた何事も無かったかのようにバカをやる仲間に。
ただ、大泉さん。プレイヤーとしては一流ですが通しで2時間弱の本を書くのはやはり大変だったそうで。とは言えタイトルは決まっているし大筋の流れ(プロット)は出来ているだろうし納期は迫るしラストが固まらないし……。メイキングを見ていたのですが想像を絶する感じが画面から伝わってきました。(結果、他のメンバーがかなりストーリーの作成を手伝ったそうです)

Shimoarai brothers

大泉洋さん難産の作品。この時点で台本は……


僕はコンピューターエンジニアとしてお客様先のシステムを構築する作業に組織で参画して行う仕事をしています。これも”納期(本番)”というものは決まっており作業工程の途中でお客様から「これじゃダメだ!なんとかしろ!」とか言われる事も多々ありますし組織で作業を行っているので一部のチームが作業難航して進みが遅れたり技術的な問題が想定よりも大きくなるとお客様から「遅れてるぞ!間に合わせろ!!」と言われ「そんな事言われても……」と悩む事は多々あります。

本当に逃げ出したくなる事は毎回のようにありますし、実際に精神疾患を起こしてしまったり退職をする人もいます。(実際IT業界は他の業界よりメンタル疾患に羅漢する割合が多いです)

でも、先ほどの芸人さんや劇団のプレッシャーの事を考えると「僕の悩みはまだまだ逃げ道はあるだよな」と思います。
組織なので困ったら上司に報告・相談するのが一般的です。”エスカレーション”という奴です。これが言い出せないとやはり抱え込んでしまいメンタルをやられてしまうのですが一回ぶちまけてしまうとそれは組織。怒られたとしてもクビになる事はありません。
人を増やしたり自分はそのお客様から退場させてもらって別のメンバーに交代したり(それがリーダーであっても、です。)いざとなったら本番を延ばす事だって場合によってはありです。

僕の仕事はシステムを作る事で、限られた場所にお客様を呼んで笑わせたり感動させたりするような仕事ではないです。だからメンバーを変えたり公演日・公演時間(プロジェクトの本番)を変える事は出来るんです。チケット払い戻し(=赤字)になるかもしれませんが、次の舞台(=仕事)にチャレンジする事はできるんです。お客様は”僕と仕事をしたい”訳では無いので組織として仕事が減ることは(余程の事が無い限り)ありません。


今年の春に新社会人になられた人もこれから配属されていよいよ仕事を始めて行くことになると思います。そんな中で「うわー、逃げ出したい!」と思う事もあると思います。勿論暴力が蔓延るブラック企業であれば別ですが誰だってつらくて逃げ出したくなって眠れない夜とかを過ごすことはあります。

Sleep cry man

何歳になってもこんな夜はあります

そんなときに芸人さんや劇団の作品を作るプレッシャーを考えてみてもらえると幸いです。(もし、あなたの仕事が芸人とか劇団の人であったら……先輩たちも苦悩しているという事を糧に頑張ってください!)

では。

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