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新しい自己顕示欲

SNSによって誰でも承認欲求を満たすことができる時代になりました。フォロワー、インプレッション数。数値化されるものは比較可能なので自分より少ない人に対してマウントをとる事もできます。これらは自己顕示欲が強い人に多く見られる傾向にあります。

昔は”マズローの5段階欲求”というのがあり、承認欲求は社会的欲求の上で安全に生活できて金銭的問題が無く社会で生きていける上で発生する欲求とされていましたが、今では借金してまで高級な料理を食べたり旅行したり……そんな風に無理をしながらでもそれらの写真をSNSに上げて承認欲求を満たしている人もいると思います。”映え”と言う言葉が一般化したのもSNSが出てきてからだと想います。

ちょっと前に会社の先輩に「今の人って服とか時計とか買わないし、何にお金を使っているのかな?」と聞かれたことがあって「承認欲求を買っているんじゃないですか?」と回答した覚えがあるのですがあながち間違えではなかったのかもしれません。

承認欲求、他人に対するマウント、批判、誹謗……コストをかけずにそれらをSNSという仕組みを使って満たす事ができる現在が健全なのかどうか、僕はあまり健全ではないと思うのですが足を引っ張るお国柄。今の時代・情勢を考えると仕方がないのかも知れません。

さて、ここ数年では新しい自己顕示欲の満たし方があると思っています。
それは『コンフォートゾーン内からの自己顕示欲』とでも言えばいいのかもしれません。
SNSを使って自己顕示欲を満たすのでは無く、自分の作品で自己顕示欲を満たすと言うものです。それ自体は昔からあるのですが「叩かれそうな部分を全面に出さない」と言う点がポイントだと思っていて例えばAdoさんやtuki.さんなど『顔出しをしないミュージシャン』がそれに該当します。

僕の偏見なのですがミュージシャンと言うのは承認欲求の塊でライブをする事に生きがいを感じている人々のように思っていたんですが最近は顔出ししない(シルエット位しかわからない)ミュージシャンが増えてきています。特にボーカリストですね。ボーカリストって言い方悪いですけれど『歌ってなんぼ』の商売なので顔出しするのが普通でしたがそれを封印するという。

これってリスク低いんですよね。容姿で批判を浴びる事が無いからです。ある意味グラビアアイドルの対極にいる存在。
もし本人は存在していなかったりボーカロイドだったりしたとしても実態が不明なので特にどうこう言われたところで(中の人に)ダメージは少ないです。

Ado allnightnippon

ラジオなら顔出ししなくてOK

でも自分の歌を聞いてくれる人は沢山いるしセールスもある。そういう意味で欲求を満たすと考えるととても高度な戦略なのだと思います。
僕は「ミュージシャンは顔出しライブをするべきだ!」と言う気持ちもあまりありません(自分がミュージシャンなら思いっきり顔出ししますが)。昔、僕が好きだった相対性理論と言うバンドは普通にライブはするのですがライブのDVDなどは一切発売しませんでした。実際に演奏して歌っている動画がないんです。相対性理論が活動していた時代はまだスマホもそんなに一般的では無かったので万が一動画があったとしても流出も少なかったんだろうな、と思っています。つまり「行けば会えるけど、それ以外の方法で顔を見る術は無い」と言う状態。

本来ボーカリストって歌で勝負するので容姿で批判されて音楽を評価されないと言うのはお門違いなのでこれは正当な評価対象としてあるべき姿なのかも知れません。

このやり方で本当に自己顕示欲が満たされるか?……は正直わかりませんし、アーティスト達は実際にはそのようなものは求めてなくて純粋に音楽を聴いてもらいたいから余計な情報をシャットアウトしているだけなのかもしれません。それを知るのは当事者のみ。

但し、その顔出しをしていない人たちがSNSで承認欲求を求めるような発言をしたら……それは厳しいのかもしれません。別の角度から叩かれる可能性があるので。

これからはAIが自分好みの曲を作ってくれるのかも知れません。でも僕が知る限り今のところAIには承認欲求は無い。……でもあなたがAIに作ってもらった曲を「この曲良いから聴いてよ!で感想ちょうだい!」と誰かにお願いした時、あなたには承認欲求が芽生えている状態なのでご注意を。

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