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プロのお客

音楽などのMCで「お客さんサイコー!」とか言うことがある。
僕が好きな大泉洋の劇団チームナックスも「僕たちの舞台のお客さんはプロのお客さんですから。助かります。」なんて言っていた。

確かに、ミュージシャンの演奏に合わせて踊るところでは踊ったり、掛け声がぴったりあったり、舞台の場合は笑わせるところで大笑いし、泣かせるところで嗚咽が聞こえる。

要はそう言う自分(発信者)の理想のプランを叶えてくれるファンのことを「最高のお客さん」と言うのだろう。

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話は変わり、この前の祝日にBARのお客さんと一緒にギターを買いにいく場面があった。飲んでいるときに「ギターが欲しいんです。孫に弾けるところを見せたくて。でもどんなギターを買えばいいか、初心者だからわからないんです。」と言っていたので、「なら、僕、付き合いますよ。」と安請け合いしてしまったのだ。

で、川崎で待ち合わせ。「まず、ギター選ぶ前に腹ごしらえしませんか?」と僕もたまに行く牛タン屋へと連れてってくれた。食事の前に生ビールを飲む。飲み屋で知り合った仲なのだから、まずはビールだ。

その際に、BARの話になった。「あの店はマスターもいいんだけれど、お客さんが素晴らしいんですよ。いても、全然嫌な気分になったことがない。」と口を開いていた。

しばらくして運ばれてきた牛タン定食を食べている頃には「この唐辛子の辛味噌が美味いんですよね」とか「テールスープの味が上がっているなぁ。」って言う普通の話に戻ったのだが。

さて、楽器を買いに行くことになる。川崎には3店舗のギターショップがある。うち2つは系列店である。実は待ち合わせ前に事前に3店舗回ってギターの価格帯やメーカーなどを調べておいた。時間が余っていたのと僕自身がギターを見るのが好きだったからだ。

最初の店へと向かう。ここで詳しい話をしても仕方がないが、少々高いがものすごい鳴りがいいギターがたまたまあった。店長(仲良し)曰く「一昨日仕入れて、昨日もう1本売れた。鳴りがやばいです。アンプにも通して弾いてください」と言われたので弾いたら確かにすごかった。その前に5万円のヤマハのエントリーモデルを弾いていたので違いは歴然である。
その違いを聞いていたBARのお客さんも「これいい!これ買う!」と即決。役員をしていて年金ももらっている。子供がいて孫もいる。いわば人生の勝ち組のそのお客さんはカード一括ですぐに購入していた。

電車での帰り道、嬉しそうなそのお客さんを見ながら、僕も嬉しくなってしまう。基本はBARだけの出会いが多いと思うが、僕が行くBARはお客さん同士でもプライベートで活動できる仲だ。
ちなみに、そのお客さんは僕よりふた回り年上。親子に見えてもおかしくはない年齢である。

駅で別れて、「お客さんが素晴らしい」と言う言葉を思い出す。確かにどんなに店が素晴らしくても来るお客さんによってその店の価値が決まってしまう。
銀座の一流クラブにジャージでサンダルでは入れないのと一緒だ。レベルが落ちてしまう。

僕は、他のお客様から見て「素晴らしい」と思ってもらえるお客になっているだろうか?
BARのマスターが思い描く理想の客になれているか?
それはわからない。

GW最終日。僕が行くその店は本日までビールとサワーが半額である。ぜひ、立ち寄って欲しい。

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