去年だったか、Twitterを見てたら、菊池良(ネット界ではそこそこ有名)な人が「もし、村上春樹がカップ焼きそばを作ったら」と書いてスマホのメモに書いた文章を画像としてあげてました。
これが、特徴をよく掴んでいて非常に面白い。面白いものは爆発的に派生していくのがネットの世界です。僕は全ては追えませんでしたが、色々な人が「もしxxがカップ焼きそば」シリーズを書いていたようです。
こう言うのを文体模写と言うらしいです。本当に一人の作家が好きなら習作と言う事になるでしょうか。
ちなみに、村上春樹は文体模写がしやすいです。僕も過去に一回書いて見た事があります。
で、最近、Twitterを見ていたら、この企画が水面下で進められていた模様で、「もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら」と言う一冊の本として発売するとの事。
発売日は6月7日。いやー、待ちわびました。久しぶりにこう言う”僕好み”の本に出会えたな、と。
会社帰りに買って2回に分けて読みました。これ、文体模写としてはすごく良くできています。本当にその中の作家が好きなら、「こうは書かないなぁ」と思われるかもしれませんが、まさに多数の文豪がカップ焼きそばを作っています。面白い。
カップラーメンではなくて、カップ焼きそばって所がポイントなんですよね。カップラーメンだとお湯入れただけでできちゃう。
カップ焼きそばは、ソースを取り出して、お湯を入れて、湯切りする。と言う工程があるんです。だから面白い。
この本を読んで、「この文豪の書き方好きだなぁ」って思ったらその人の本を買えば良いと思うんですよね。あとは、「純文学って書き方が面倒だなぁ」なんて思うことがあるかもしれませんね。
一つ気になったのは、なぜか全て待ち時間が5分なんですよね。普通は3分のはず。どこかで答え合わせをするのかと思ったらされてませんでした。
ただ、巻末に各メーカーの正しいカップ焼きそばの作り方が書いてあるので、そこで回収しようとしているのかもしれません。
あとは、絶対に入っているだろうと思ったエッセイの帝王”原田宗典”が入っていなかったのが残念なので、僕なりに「原田宗典がカップ焼きそばを作ったら」を書いて見ました。
スバラ式カップ焼きそばー原田宗典 小説家、エッセイスト 1959-
僕はカップ焼きそばが好きだ。大好きと言っても過言ではないだろう。なにせ、友人の原くんと「西早稲田カップ焼きそば同好会」を作っているほどだ。(部員は2名)
さて、カップ焼きそばが好きなので作るコツもしっているのだ。お湯を入れて2分30秒で台所へと向かうのだ。ちょうど3分の段階でお湯を捨てる事ができる。我ながら完璧なプランだ。
そうだ、これを「ムネノリ式カップ焼きそば大作戦」と名づけよう。我ながらいい名前だ。
今日も、これからカップ焼きそばを食べるのだ。お湯は沸いている。
さて、「ムネノリ式カップ焼きそば大作戦」の実行だ!
タイマーをオンにする。勿論、時間は2分30秒だ。作戦は完璧。
が、お湯を入れたところで下腹部に違和感を感じた。これは肛門括約筋(ビロウですまぬ)が守りきれない勢いだ。
ここからトイレに入る。すると、3分はかかるだろう。するとお湯を入れてから3分が過ぎ、この作戦は失敗に終わる。かといって、我慢できる時間ではない。括約筋と言う門は百姓一揆の猛烈な攻撃により、陥落寸前である。
ムネノリいきなり大ピーンチ!
今、幸いな事にこの部屋には誰もいない。カップ焼きそばを優先すれば、部屋は異臭に包まれるだろう。
しかし、ここで、トイレに行ってはカップ焼きそばはのびのびになってしまう。
「うーむ、どうしたものか?」と思っているとある閃きが。「トイレにお湯を捨てればいいではないか!」
そして、ぼくはウンチョスをしながら、完璧な湯きりが出来るではないか!ムネノリあっぱれ!
かくして作戦変更して「ムネノリT(トイレット)パターン」を実行した。5分後、事はすべて終わった。しかし、そこまでして、ぼくはトイレでカップ焼きそばを食べる必要があったのだろうか?もう40歳になる成人男性がトイレで下半身全開でカップ焼きそばを食べている。客観的に想像できたのは、ウンチョスも無事成功し、カップ焼きそばを食べ終わってからである。出来ることならこの事は秘密にしておきたい。とほほ。
ネットにも原田宗典パターンが載ってましたが悔しいから書いて見ましたよ。
では。
本を読むのが好きな人は買って読んでも損はないと思います。