はじめに
時折、思い出したかのように、ツイッターやブログで「キャバクラのお金は経費で落ちるのにベビーシッター代が経費で落ちないのはどう考えてもおかしい!」と言う意見を聞きます(見ます)
まぁ、言わんとしたい事はわからないでもありません。
キャバクラでおねーちゃんとお酒飲んでその飲み代を会社が出してくれるなんてそもそもおかしい!と言う話ですよね。まぁ、未来(令和以降)はどうなるのかはわかりませんが、昭和・平成時代はまぁ、仕方なかったんですよ。
で、ベビーシッターを経費で落とせれば女性でも会社に行けるので会社に貢献する事が出来る!
と言う意見も分かります。
さて、今回はなぜ「キャバクラは経費で落ちて、ベビーシッターが経費で落ちないのか?」を考えていきたいと思います。
経費とはなにか?
よく「必要経費だから仕方ない」とか「これ、経費で落ちるかなぁ?」と言う場面が会社員ならあると思います。個人事業主も経費は使えますね。
では、そもそも「経費って何だろう?」って事を考えていきたいと思います。
経費とは簡単に言うと「売上に繋がるのに必要なお金」です。
・人件費
・消耗品費
・教育費
・交際費
・旅費
などが上げられます。
旅費精算で自腹分のお金を貰えるのは、旅費が経費として認められているからですね。
意外なのは人件費も経費って所なんですけれどね。ただ、これは会社の事業の考え方で、販売管理費となったり、製造原価となったりするので、一概には言えません。
問題になっているのは交際費なんですけれど、こういう経費を纏めて”間接費”と呼びます。
(厳密には直接経費と間接経費に分かれますがここでは間接経費=間接費とします)
間接費は予算を組むときに組織(部、課)として予算を組みます。予算を使い切らないと翌年度からは予算が減らされるのはどこの分野でも一緒です。
キャバクラは間接費?
さて、みなさんが憎んでやまないキャバクラの費用ですが、これは交際費と言う費目(科目)に計上されます。
別にキャバクラだけでなくて、料亭で飯食っても、居酒屋で飲んでも交際費です。
ただ、この交際費なんですけれど、「広い意味では外部との付き合いまたは交渉などの際に支払われる費用」となっています。
“外部の付き合いまたは交渉”ってのがポイントです。
エンジニアと違って営業の人はよく、お客様と飲んだりしますよね(接待って奴です)。ここで交際費が使われます。お客を喜ばせる為(もしくはお客様が望んだ為)にキャバクラに行くケースもあるって訳ですね。
営業の人はわかると思うんですけれど、お客を接待すると言う作業は基本あまり楽しくありません。
お客様の機嫌を取らないといけませんし、お客様よりも酔っ払って失言なんてしたら契約破棄の危険性もあります。
よほどお客様に信頼されており良好な関係を築けているのであれば別ですが、大抵、現場のクレームを聞くのに呼び出されたりしますね。
これが経費として落ちずに自腹だったら…。もうやってられませんよね。
飲み会は楽なものだけではない
ちなみに、僕の知っている例では、夜中の23時に酔っ払ったお客様から「今から飲みに来い!文句がある!(そして金はお前の会社の経費で落とせ)」と電話がかかってきて悲しそうな顔をしながら飲み会に向かっていったと言う例があります。夜中の23時ですよ、この話。
あと、経費精算も厳しくなってきており、領収書は勿論の事、参加したメンバー全員の名前と時間、内容を記述しないといけなくなってきております。
ベビーシッターは経費にならないのか?
ベビーシッターにかかる費用は厳しい事を言うと「育児にかかる費用」であり、会社に関係する費用では無いと言う点が上げられます。(あくまでも2019年現在)
間接費で計上したいところですが、この費用が「売上に繋がるのに必要なお金」になるかは厳しい所ですよね。
なので、現状、ベビーシッター代の領収書を会社に提出しても経費として認められないと言うのが実情です。
しかし、個人的には養育費や介護費(これから増えると思います)の支援を会社がすべきだと思います。
理由は簡単で、人情とかでは無く「養育や介護と言う一時的な作業の為に大切に育ててきた会社員を(結果的にと言う意味で)退職させるのは会社の大きな損失」だからです。
人材不足と言われている昨今、育ててきた人財が流出するのを企業は一番恐れるべきなのです。
何か方法はないか?-あると思います。
さて、間接費では落とせないと思われたベビーシッター代、会社でなんとかする方法は考えられます。
ここではその方法をいくつか紹介していきたいと思います。
ベビーシッターを会社自体が発注する。
ベビーシッターを個人で雇うから「その金は会社に関係ない」と言われてしまうんですよね。
なら、会社がベビーシッターを雇えばいいんですよ。逆転の発想。
会社とベビーシッター(の会社)が法人で契約して発注します。んで、赤ちゃんがいる家に行ってベビーシッターをします。
会社はその作業日報を見て検収を行い、支払いを行います。
これは間接労務費として計上できるのではないか?と思っております。
ただ、法人契約する為には相手の会社の口座開設(法人取引する為)を行わないといけないので与信調査とか発生ます。なので、その法人もそこそこ大きい会社である必要がありますね。
手当として付与する
大きな会社にいる人は経験したことがあると思いますが、賃貸住居の一定割合を払ってくれる”住宅手当”や結婚した際に相手が社会人では無かった場合に付与される”扶養手当”ってのがありますよね。
いずれも期限付きですが、会社としては福利厚生の一環として利用しております。
それに乗じて”育児手当”と”介護手当”を出せば良いと思うんですよね。
全額支給ではないものの、福利厚生の手当として付与すればクリアできそうな気がするんですけれど…。
育休制度をもっと広める
僕の会社では産休・育休が数年スパンで取れます。会社復帰後も時短勤務と言って、子供を保育園に預けてから出社して、速めに会社から帰り保育園に迎えにいけると言う制度です。この時短制度は男女問わず利用可能です。
最近話題になったNHKの女子アナでは無いですが、産休・育休を繰り返し取得して6年位会社に戻ってこない人も実際にいたりしますね。
あとは期間は短いですけれど、男性も育休が取れたはずです。
そういう制度が「みんなに申し訳ないけれど」じゃなくて「子供が産まれたのだから当然」と言う文化に変わり浸透していくと良いですよね。
おわりに
少子化が大問題となっているのに、子供を産んでもベビーシッター代すら出ないと言うのは日本の施策としていまいちなような気がします。とりあえず、子ども手当と言うものもあるでしょうがまだまだ不足です。
また、コンピューターなどを扱う仕事の人はリモートワークや在宅勤務がこれからどんどんと普及していくと思います。
奥さんが育休を取っている間に旦那も在宅勤務をちょこちょこ入れて奥さんの育児負担を和らげる…。なんてことも可能ですね。
大体、ネットが発展した現在、テレビ会議も非常に簡単に出来るので厳密に言えばわざわざ会社に行く必要ないんですよね。
とは言え、「家と仕事場を分けたい」と言うタイプの人(僕もそうです)も多いのも事実。なので、本社一点集中型ではなくて、サテライトオフィスなどを増やした地方分散型になって欲しいですね。
ベビーシッター代を”経費”では落とせないですけれど、他の方法で会社が育児をサポートする事は出来るはずだし、これからもっとそういう時代になっていくと思います。
もうすぐ、令和時代が始まります。子供を育てやすい働き方改革に期待です。
(と言う僕自身は独身で子供がいません。とほほ。)
では。