はじめに
アルコアンドピースと言う二人組の芸人がいます。漫才も披露しますが、基本的にはコント師ですね。
平子祐希さんと酒井健太さんからなる芸人。”ラジオスター”と業界では呼ばれるほどラジオは軽快にこなすのに、テレビに出てもパッとしないテレビ人見知り芸人でもあります。
太田プロ所属芸人です。
そのアルコアンドピースさんのラジオを聞いた事があるファンなら必ず知っている言葉があります。
それが”平子り”(もしくは”平子る”)です。
平子りとは?
“平子り”は、平気で嘘をつく事ではありますが虚言癖のような病気では無いです。
勝手に妄想の世界を作り出しそれを広げ続ける事であり、アルコアンドピースのラジオではまぁ、ほぼ毎週聞けます。
リスナーは理解しており、「あぁ、また平子った」と悲観的に嘆いていたのですが、そのうちに「今週の平子りは面白かった!」「酒井さん(相方)、平子りの扱い上手くなったなぁ」と言う始末です。
恐らく、比喩や着地が上手くいけば平子り成功って感じでしょうか?
基本的に誰にも危害を与えない夢物語の世界です。ラジオなので音声のみでイマジネーションを広げるのみ。制作費ほぼゼロです。
平子り伝承者ー平子祐希
ただ、この”平子り”、もちろん世間一般では知られていないどころかお笑い関係者も知らない(と言うか苦手な)人が多い事で有名です。
平子りTV失敗例
有名なところで言うと『アメトーーク!』に平子さんが出演した際に、地球のコアの温度を幾度となく「クリームコロッケの熱さ、あれが”地球のコア”の熱さと一緒と言われている」と繰り返し(おそらく映画「ザ・コア」からきているのでしょう)、温厚な加地プロデューサーをキレさせたと言うエピソードがあります。
なお、業界では二度とアメトーーク!に出さないと珍しく出禁命令を食らったほど。(同じくテレビの業界人である佐久間宣行さんのラジオではこの事件を「加地メタル・ジャケット」と比喩しております)
※平子さんのアメトーーク出禁命令は、2019年8月に解除が発令され、2019/8/8のアメトーークで復帰しております。
もっと最近の例で言うと、”タモリ倶楽部”にて歴史通の平子りを見せたところ、本当の歴史通であるタモリさんから「サシで説教だな(テロップあり)」と言われたというのが有名です。前の回から次回予告に使われており、アルピーファン待望の回になりました。
ただし、タモリさんは元々そう言うニセモノを扱う”密室芸”と言うものから有名になった面があるので、本当の説教では無いと思います。
平子りTV成功例
平子りで成功した例として一番有名なのが、「瀬良社長」だと思います。
株式会社ワールドイッツマイン、瀬良明正社長
フジテレビ系列でやっていた番組、”超ハマる!爆笑キャラパレード”(現在はネタパレ)にちょくちょく出ていたのが、ご存知瀬良社長です。
あのイケてる意識高い系IT企業の社長キャラ。全てが”平子り”と思ってもらえればOKです。全てが嘘の会社「ワールドイッツマイン」にて意識高い系の社長がいたよねー、そうそう、そういえば…から始まるいつもの”平子り”です。
あの、一見ウザくもスマートにも見えて「いるわけねー」と思わせながら、「どこか居そうだよね」と思わせるギリギリを攻めるのが平子りの妙ですね。これはCMになったり格言集が出たりと色々と成功した稀有な例だと思います。
平子り活用例
例えば「俺、この前、川崎の銀柳街でムカついたからヤンキー5人ボコボコにしたわ」と言うのは嘘であり、印象も非常に悪いです。暴力的ですし。
但し、これが平子りにかかると「銀柳街のヤンキー5人に絡まれたら?まぁ勝つよね。だって足元がお留守だから」と言って”勝てる(訳が無いのに…)”と言い張るのが”平子り”です、ちなみに”平子り”を使う場合は動詞の”平子る”に変わるので注意が必要です。
ちなみに、ライオンでも、ラッパーでも、ギャングスターでも基本的に戦いを挑まれた場合”足元がお留守”と言う表現から「ローで一発よ」とコンボをかますのを好んで使っております。(大抵、”足元がお留守”になるので、そうならなかったら相方の酒井さんが驚くほどです)
ネットでは冗談を冗談と受け取れない人が増えていると思いますが平子りは100%冗談です。虚言癖は嘘をついた自覚がありませんが、”平子り”は冗談を展開させているだけで嘘を付いている自覚はあります。
人を騙す類ではない
突然ですが、山師と言う言葉があります。
元々、鉱山技師、字の通り山を扱う職業の人を差しますが、一転して詐欺師と言う意味も含まれております。
元々の由来は山と言うのは資産であり、松茸などが生息したり鉱山が眠っていたりすると莫大な資産となりますよね。
”一山当てる”と言う言葉がある通り、「あの山には金脈が眠ってる、買おうと思ってるんだけれど一口乗らないか?」と言うニュアンスから詐欺の種類の一種で、後々莫大な資産になる(可能性がある、もしくは全く可能性がない)ものを売ると言う詐欺の事です。
最近の仮想通貨も半分山師の仕業である事を理解していただけると幸いです。
さて、多少話は逸れましたが、”平子り”はそう言う意味では人を不幸にしないです。人から金銭も奪いません。奪われるのは己のプライドと人脈だけです。
平子さんは別名”コントゴーレム”と呼ばれており、大部屋(複数の芸人さんが待機する楽屋)で突然(平子りから始まる)コントを始めるので、同業者から嫌われかけているのも事実といえば事実ですね。
愛妻家+平子り=”愛王”
平子さんは大の愛妻家である事で有名です。TVによく出ている愛妻家と言えば、ヒロミさんとかいますが、今の中堅芸人として一番番組に呼ばれているのがこの平子さんなのではないでしょうか?
そんな愛妻家である平子さんに最強の活躍の場が与えられました。芸人界でいまいち跳ねないアルピーをうまく操縦できる千鳥さんのネット番組”チャンスの時間”(AbemaTV)の中の大人気企画である”愛王”(正式には”現代社会を愛のチカラで癒せ! 愛王決定戦”)です。
この企画は、女性の恋の相談に芸人が回答してその共感度で得たポイントの高さで”愛王”を決めると言うものなのですが、まぁ、平子ります。
”愛王”にはスピードワゴンの小沢さんと言うレジェンドもいますが、小沢さんは独身、平子さんは妻帯者と言う違いがあります。
あ、この企画、超真面目に恋愛相談の回答をする企画ではないです。大抵後半になるにつれ下ネタに走っていくのですが(だから長続きしているのでしょう)、平子さんは最初から最後まで平子ってます。
これがまた中途半端に上手い事言ってるからすごいんですよね。
愛王・平子
終わりに
もしかしたら、令和の現在、あと数年もすれば「ほらを吹いて話を広げる」事を「平子る」と呼ばれる時代が来るかもしれません。
平子さんは己を信じて、今日も明日も”平子って”欲しいと思います。
ちなみに、平子さんは愛妻家であり2児の良きパパでもあります。家庭内で喧嘩があった場合に「森の裁判」なるファンシーなもので解決するらしいです。これに関しては”平子り”以上に意味不明なので割愛させていただきます。
もうちょっと平子りのバランスを考えて行けばテレビで跳ねそうな気がしているのですが、2021年辺りから”平子り”をバカする上手い展開例も見られ始めたのでこれはひょっとするかもしれませんよ?