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相対性理論と言うペルソナ

はじめに

相対性理論と言ってもアインシュタインの奴じゃないです。日本のバンドです。J-POP?まぁ、00年代(ゼロ年代)のバンドに影響を与えた不思議な不思議なバンドのお話。

活動は2006年から。
ウィスパーボイスのヴォーカル『やくしまるえつこ』とベースで作詞・作曲、コンポーザーも行うベースの真部脩一。ギターの永井聖一、ドラムの西浦謙助からなる4人組で活動開始。

その後、メンバーは入れ替えをしているが、ここでは初期メンバーについて書いて行きたいと思います。

正体不明のプロジェクト

僕が相対性理論と出会ったのは、たまたま買ったCD「シフォン主義(タイトルからしてダジャレです)」。一曲目の”スマトラ警備隊”のギターに度肝を抜かされました。

決して超絶技巧のギターではない。ヘタウマとも最初は思えるんですけれど、音が心地よい。ペンタトニックの妙。

そしてこの時期のほぼ全ての曲は首謀者である真部修一によって書かれています。
レーベルは”みらいrecords”。インディーズです。

2006年といえば、Youtubeもあったので、プロモビデオも作れたろうし、アー写(アーティスト写真)も作れた時代ですが、ライブ以外では一切姿を見せることはありませんでした。
これが、相対性理論のマジックです。

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後ほど発掘された数少ないデータ。これだけでは何かわかりません。

何せパフォーマンスなどを見たいのですが、ライブ(生)以外、”データ”は音楽データしかないのです。当時、そう言う姿を見せないバンドはあり得なく、不思議感を増していました。

そもそもクレジットはあるものの、誰がどんな顔でどんな機材で演奏しているか?すべてが不明だったのです。

真部修一と言う男

この不思議な音楽は当初、真部脩一(ベース)により紡ぎ出されました。彼は元々ギタリストです。なのに、なぜベースか?と言うと、ベースしかパートが空いていなかったからとも言われています。
首謀者なのになんて言うか面白いと言うか、余裕があると言うか…

実際、このバンドのベースは物凄く考えて作られています。

月に厳雲華に風、真部脩一と言う男。

元々、真部脩一は”進行方向別通行区分(以後、”進行”)”と言うこれまた馬鹿げた名前のバンドでギターをやっていました。ギターを始めたきっかけは”進行”の写真をとっていたけれど、自分でもやってみたくなったから、と言っています。
(”進行”の動画はYoutubeで視聴可能)

真部脩一と西浦謙助は、2012年に揃って脱退します。原因はわかりませんが、この二人を境に”真部在籍/真部不在”と分けると、真部不在の方は「相対性理論っぽくなくなった」と思いファンを離れる人も多かったと思います。僕もその一人です。

データがないプロジェクト

さて、現在でも相対性理論のフォロワーは多いと思いますが、彼らは一切”デジタルタトゥー”を残しませんでした。(良い意味でも、悪い意味でも)
これは凄いことだと思います。
バンドを始めた最初はプロモーションが大事です。1枚でも多くCDを売るためにPVを作ったり、露出を増やしたりします。

しかし相対性理論はそれをしなかった。なので、15年後の今となっては当時を振り返る”データ(アーカイヴ)”が音楽データしか存在しないのです。

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やくしまるえつこさんだけが後に写真を出しています。

もし、もしですが、彼(彼女)らが、”売れるのを前提”に露出を完全にシャットアウトしていたとしたら…。それすらも考えられたプロジェクトなのかもしれませんね。そう考えると凄いことです。

僕もいろんな好きなバンドを追っかけましたが、ここまで何も情報が出てこないバンドは初めてで今後も現れないと思います。

終わりにーポップマエストロが残したペルソナ

相対性理論を語る上で真部脩一を外すことはできません。
しかし、唯一無二のやくしまるえつこのヴォーカルが相対性理論であると言う考え方をすることもできます。

それほど掴みどころがなく、ファンによって色々な考察をされると言うのも相対性理論と言うプロジェクトが”何も残さなかった”ことで、沢山のものを残したと考えれらます。

それはペルソナ(仮面:サービス・商品の典型的なユーザー像)となって、いろいろな音楽のベース、誇張すれば音楽のジャンルを作っています。(相対性理論っぽいなと言う言い方がされる事があります)

そのペルソナが今は、都市の音楽、普遍的、可逆的な音楽として2020年代へと引き継がれていくと嬉しい限りです。

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